斬新な断乳方法〜子を置いて女子旅にでる〜 

私は概して優柔不断である。NOといえない典型的な日本人。 子どもが1歳になったなれば、絶対に断乳しようと決めていた。またこれを公言することで自分の弱い意志を外堀から埋め、自分を説得しようとがんばった。しかし、この作戦も破れたり。子どもがおっぱいを飲みたいとせがむと、ついついあげてしまうのが私の性である。

理由は明らか。その時点でのお互いの利益が一致するから。乳を飲む側としては、瞬時に満足感を得られるし、乳をあげる側も、乳が張ることもなく、泣いた子をなだめるという労力も搾乳するという労力もセーブできるというわけだ。

結局ずるずるとあげ続けた結果、目標の1歳をとうに過ぎ、次男坊は1歳4ヶ月に突入してしまった。 すでにたくさんの知恵をつけた1歳児は、自分で私の洋服をめくって乳を飲みにくるし、寝たふりかましたところで、髪の毛を引っ張って叩き起こしにくる。乳をくれと半ば暴力的に朝夕問わず恫喝してくる。はてどうするか。私は考えた。そして決めた。

そうだ旅に出よう!(JR東海のCM風)

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私の姿があれば子どももおっぱいを貰えると思ってしまう。しかし、私がいなければ、おっぱいもないわけで、あきらめる。近場にいては鳴声が気になり家に帰ってしまう自分が容易に想像がつく。ここは心を鬼にして帰れない場所「パリ」を敢て選んだ。

 そして、朝6時に家を出て翌日の夜22時に帰ってくるという弾丸女子旅が 決行された。後ろ髪をひかれる思いで早朝にこっそり家を出る。なのにパリでは女子3人できゃっきゃきゃっきゃとショッピング三昧。聞こえはいいが、実際のところ乳が張って仕方がない。昼からフレンチレストランでワインをがぶ飲みし、アルコール入りの乳を大量生産。意思の弱い私はここでも外堀から埋めようと無駄な思考が働く。「もうこれで飲めますまい」と。

ほろ酔いのままホテルへ。まずは洗面台へ向かって搾乳。鏡にうつる自分は実に切ない。アルコール入りの乳は流れていった。昔の人は搾乳した乳を松の木に捨てないとバチあたると言ったとか言わないとか。この際そんなことはどうでもいい。目標は断乳だと自分に言い聞かせる。そして すっきりしてショッピングへ。「あ、もうワンピースが着れる」とテンションはマックスに。授乳中は乳が出しやすい服を選んでいたので、それを気にせず洋服を選べる開放感は女子力をあげてくれる。とはいえ、現実には夜も虚しい搾乳が続く。この急に断乳をする盲点にパリにて気付いた。搾乳しながら、虚しい自分の姿を鏡に見ながら、家に置いてきた男衆のことを思う。「おっぱい欲しいって泣いてないかな」」「ご飯ちゃんと食べてるかな」「おっぱいなしで寝れたかな」などなど。とはいえ、搾乳してすっきりするとそんな心配も忘れて女子旅を楽しんだ。

 夜こっそり鍵を開けて帰宅した私は、そのまま一人別部屋で就寝した。朝、こどもが「ママ〜」と抱きついてくる。久しぶりに子どもにあうと5倍以上愛おしく可愛く見えるんだな。次男坊はあっさりと抱擁中もその後も乳を欲する仕草などひとつも見せない。「あれ?」何度も好きと言われシツコク電話してきたオトコが急に冷たい態度を取ってくると、こちらから追いたくなるあの感じ。「おっぱい飲みたくないの?おとといまで欲していたのに」と思いながら一人切ない私。乳がなくたって楽しげでおどけてみせる次男坊をみて、あー、あの無邪気さ、余計に追いたくなる。乳を差し出したい願望に一瞬狩られるが、なんとかやり過ごした。そして気付いた。なーんだ、結局は私が子どもから乳離れできていなかったんだってね。

それ以来というものもう次男坊は乳の存在を恐ろしいほど忘れてしまい、乳のない生活を享受している。私の乳が中学2年生の初めてブラをつけた時レベルに小さくえぐれてしまった。残っているのは干しぶどうだけ。どこか寂しさを感じつつも、それと引き換えに自由な生活を手に入れることとなった。お酒も飲めるし、ジョギングしても乳が揺れない楽な生活を。乳離れは、子どもが一人の人間として成長していくために親に課された試練なのかもしれない。これで私たち親子はひとつ上の関係へと昇格できたのだと思う。

 

斬新な断乳方法〜子を置いて女子旅にでる〜  への4件のフィードバック

  1. KEKO のコメント:

    女子旅メンバーからの追加情報☆
    筆者の次男は無類のおっぱい好きで、1歳を過ぎても赤ちゃんせんべいはおろか水すら口にしないという頑なさでした。そろそろ乳だけでは栄養バランスが心配になってくる頃。。筆者は頭を悩ませていました。それが半ば強引に女子旅を決行した結果、食べるようになったのです!赤子も分かっているのです。スポイルしてくれる相手がいなければ、自力でなんとかするしかないことを。人としての大きな第一歩でした。
    もちろん、この美談の背景には乳をくれと泣き喚く子を昼夜あやして乗り切った、夫の努力があります。ビバ!やればできる、夫たち☆

    • hisako のコメント:

      KEKOちゃま、追加情報ありがとう。女子だけの旅って、家族だといけない場所にいけるし、なによりもお買い物とお食事楽しかった。また行きたい!

  2. aya のコメント:

    最後の一文好きだわ。

    私も、息子のとき思った。しっかり儀式として、断乳をしてよかったと。
    息子がすごく成長したように思えたし、なんだか一緒に頑張ったことで、
    親子の絆が深まったように思えたものだなあと、なつかしく思い出していました。

    • hisako のコメント:

      ayaさん、
      すでに次の難関が待っています。。。
      そして、授乳もエネルギ−奪われるから辛いと思っていたけど、授乳中はホルモンが安定しているのか、偏頭痛もなく調子よかった。今は女性ホルモンバランスぐっちゃぐちゃになる(生理前のイライラとか体調不良など)から、今思えば、授乳中の方が楽だった気もする。女性って大変な生き物よね〜。

      断乳、、、その響き自体がかなりの過去になってしまっています。

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