Vol. 7 子どもの放射能被曝ーママとしてできること

今回のりんごの木ゼミナールのテーマは、子どもの放射能被曝についてです。ドイツの政策と比べ、いかに日本での放射能被曝に対する政策が甘いのか、母親として次世代のためにできることは何か、ママという視点から、福島県出身のボックマン・正美さんにお話を頂きました。

「子どもの放射能被曝ーママとしてできること」

私が生まれ育った場所は、高村光太郎の「智恵子抄」で歌われた「ほんとの空」がある、自然豊かな美しいところでした。しかしながら、2011年の震災以降、それは一変しました。それは、そう、福島第1原発事故による放射能汚染の問題です。

私が、やっと一時帰国を実現させることができたのは、2014年4月でした。2011年以前までの帰国と違ったことは、日本で線量計をもち、食品内の放射性物質のことを心配し、そして、福島の実家に子供をつれて帰ることができなかったことです。 福島から遠く離れた県に滞在し、そこらじゅうの線量を自前の線量計ではかり、食品中の放射性物質を気にかけるという生活を余儀なくされました。なぜそんなに私が放射能に敏感になっているのかというと、原発事故後、母が病に伏せたことがきっかけでした。病院では原因不明と診断されましたが、母の症状は、放射能を浴びた人に典型的なものでした。そして、そういったことを調べるにつれて、東電や政府の対応に遠くに住みながらも辟易としたからです。

帰国時に、具合の悪い母の顔に一目でも会いたいと、私一人で福島に日帰りで帰りましが、その際に測った放射線の線量は、家屋内で、毎時0,2マイクロミリシーベルト以上、屋外ではそれ以上ありました。シーベルトとは、人体が放射線を受けた時、その影響の度合いを測る物差しとして使われる単位です。毎時0,2マイクロミリシーベルトとは、そこに1時間いると、0,2マイクロミリシーベルト被曝する、ということです。いわゆる「普通」とされる値、即ち日本の平均的自然放射線はだいたい毎時0,04マイクロシーベルトぐらいなので、実家のこの値がいかに高いか、ご想像いただけるかと思います。

中部大学の武田教授によると、毎時0,1マイクロシーベルトだと「外部被曝の限度を超える可能性が高い」そうです。われわれが一年間に被曝してもよい量は、1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)です※。これは、外部被曝と内部被曝を含む値です。武田教授は、ここでは大地からの放射性物質の再飛散による被曝は考慮されておらず、この事実も配慮されるべきとのことです。即ち、毎時0,1ミリシーベルトの場所に住む場合、食材、水などからの内部被曝を、ゼロに近づけないと、一年一ミリから上回ってしまうのです。

※世界基準は一年1ミリシーベルト。国際放射線防護委員会という国際的組織が、通常時の一般の人々の人為的な放射線による追加被ばく線量管理目標値です。

ちなみに、日本の環境庁は、自然放射線を大体毎時0,04マイクロシーベルトとした場合、事故由来の放射性物質による放射線は毎時0.19マイクロシーベルト以下はOKとしています。ただここでは、「1日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果(0.4 倍)のある木造家屋)に16 時間滞在するという生活パターンを仮定」しているので、外によく出る人はすでにアウト。また、ここが問題なのが、ここでの計算には内部被爆や、大地からの放射性物質の再飛散による被曝は入っていないことです。

ちなみに、母のいとこは、食品の産地を気にせず、畑や山のものを食べていたため、ホールボディカウンターで計った内部被曝の値がほかの人よりもかなり高くなってしまいました。

体の表面に放射線を浴びることを、外部被曝といいますが、外部被爆よりも、私自身は、内部被爆の問題が気になりました。つまり、どうしたら子供ができるだけ放射性物質を口にしないようにするかということです。母親というものは、どんなものでも我が子が口に入れるものをもっとも気にかける存在なんだと思います。

実際に私がしたことは、独自に放射能測定をして放射能無検出(1kgあたり0,5ベクレル以下)の食品だけを出荷しているお店で、できるかぎりの食品を購入するということでした。多くの食品はネットであらかじめ購入し、滞在先のアパートに送ってもらいました。ちなみに、そのお店は「ホワイトフード」といいます。最近では、特に汚染が酷い大豆の商品にも力を入れているとのことです。

http://www.rakuten.co.jp/food-connect/

ホワイトフードのHPの食料品の放射能汚染に関する情報は非常に役に立ちます。

http://www.whitefood.co.jp/

ホワイトフードでは、ストロンチウムを計測したお魚の販売もしています。ストロンチウムという、日本では一般に全く計測されていない放射性物質もはかっているので、とても貴重でした。ストロンチウムは、カルシウムに似ているので、骨に蓄積し、骨癌などを発症させるといわれています。

ちなみに、「食品の放射能汚染」という雑誌には、放射能が多く蓄積しているだろう食品郡が、判り易く掲載されています。2011年9月発売のものですが、目安としてはとても役立ちますのでご紹介しておきます。

foodbook

フクシマ以降、日本政府は、法律で、年間20ミリシーベルト(!!!)の被曝を、子供を含む日本人に許容範囲として適用させました。空間に存在している放射性物質が放つ放射線の強さに関しては、毎時0,23マイクロシーベルト(自然の放射能毎時0,04マイクロシーベルトを含む)、食品に含まれている放射性物質については、1kgにつき100ベクレルということを言っています。これは「1kgあたり100ベクレル以下は、放射能ははいっていないということ」と同じにしよう、つまり「放射性物質無検出」ということも意味します。

ちなみに、ドイツ放射線防護協会は、乳児、子ども、青少年に対する1kgあたり4ベクレル以上の基準核種セシウム137を含む飲食物を与えないよう推奨しています。これに比べ、日本では、1kgあたり100ベクレルまでOKだと言っているのです。皆さんはどう思われますか?

ドイツは神経質すぎるのでしょうか?しかし、子供に関しては、基準が厳しくても厳しすぎることはないと私は思います。子供はより地面に近いところで息をしているので、放射性物質を口から吸い込む割合も、大人より高いのです。さらに、子供の放射性物質の感度は、大人に比べ4倍ほど高いといわれています。つまり、大人が、1kgで100ベクレルのものを食べても、これは、子供の場合1kg400ベクレルに相当する、と考えることができるのです。

このような日本の政策の中で、次世代を担う子どもたちを守れるのは、国でも地方自治体でもなく、親である私たちだと思います。たった一人では小さな力でも、ママたち皆の意識が高まれば、きっとその声は届くと信じています。

【筆者紹介】正美・ボックマン

ゲッティンゲン大学マギスター修了(社会学/社会保障・社会政策学/日本学)。福島県二本松市出身(フクシマ原発から約45kmしか離れていない)。デュッセルドルフ在住。一児♀の母。

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