歴史を学んで旅に出よう – vol.1 ドイツ/アーヘン

『歴史を学んで旅に出よう – vol.1 ドイツ/アーヘン』

IMG_4980 パリ、フィレンツェ、プラハ、ウィーン…。憧れのヨーロッパの街並み。そんな憧れの街へと手軽に行けてしまうのが、ヨーロッパ駐在生活の醍醐味ですよね。休暇の過ごし方といえば旅行!という方も多いことでしょう。ところが、一方で初めは、「荘厳な教会、可愛らしい街並み、ヨーロッパって素敵!」と鼻息荒く興奮していたのに、一年も過ぎる頃には、「あー、キレイなんだけどやっぱりどの街も同じに見える…。教会?<どこも一緒で見飽きた。」といった具合に、いつの間にかワクワク感がすっかりなくなってしまった、という方も多いのではないでしょうか?

そんなあなたに、ヨーロッパの歴史を学ぶことをオススメします!「歴史を学ぶ」と言っても、学生時代のように、退屈な授業を受ける必要も、年号を覚えたりする必要もありません。出発前に、目的地の歴史をマンガや本で読んだり、インターネットでちょっと調べるそんなことだけでいいのです。

例えば大聖堂が有名なアーヘン。オランダとベルギーとドイツの国境近くで、それぞれの文化が混じりあった、アーヘンの街並みが好きって方、結構多いと思います。私もつい先日、そんなアーヘンに行ってきましたが、アーヘンと言えば、『カール大帝』。たとえばカール大帝についてちょっと調べるだけで、アーヘンの旅が何十倍も楽しくなります。

たとえば、インターネットで『カール大帝』と調べてみてください。たくさんのWebサイトが検索にヒットしますが、その中で面白そうなものを適当に覗いていくと・・・。

カール大帝の黄金の像

カール大帝の黄金の像

フランク王国の国王で、カロリング朝を開いたピピン3世(小ピピン)の子で・・・と遠い昔世界史で習ったけれど・・・なんだっけ~っていう言葉がずらずら出てきますが、眠くなるので、この辺りは適当に端折りましょう。彼の人となりを調べてみると、小太りで195cmの長身、大きな青い目を持つ陽気な顔。大好物は焼肉で、激しい性欲の持ち主であり、人間味あふれる愛すべきキャラクターであったとか・・・。フムフム。教科書でみたあのお髭の銅像でしかなかったカール大帝が、身近にいる誰かに似てるなあとおもえてきたりしませんか?ちなみに、トランプのハートのキングのモデルともいわれている彼の銅像は、アーヘン市庁舎で見ることができます。彼のそんな性格を思い浮かべてみてみれば、ただの銅像も活き活きして見えます。

さらに読み進めていくと・・・。軍事、政治、経済、文化、いずれにも成功を収めた稀有の人物であったため、後世の王の多くが、彼を手本としたようです。アーヘン大聖堂の宝物館に並べられている、とにかく、ド派手で金ぴかに輝くカール大帝のにまつわる宝物の数々も、彼が後の権力者にいかに尊敬され、神格化されていたかというを知っていると納得の豪華さです。

また、カール大帝は、学問の振興に尽力したのだそうですが、なぜか、文字の読み書きに関しては、熱心に練習したにも関わらず、習得することができなかったようです。それも不思議なものですが、まあ人間だれにでも弱点はあるということでしょうか。文字が書けないと、重要な書面などにサインすることもできないということで、そんな彼のために作られたのが、”KAROLUS”の7文字を組み合わせたモノグラムです。このモノグラムが、大聖堂周辺の石畳の所々にあり、それを子供と探し歩くのも楽しいですよ。

豪華な大聖堂内部

豪華な大聖堂内部

またカール大帝は、大変信仰心が篤く敬虔なキリスト教徒で、カトリックの布教に特に力を注いでいたそうです。そのことを知れば、あの豪華なアーヘン大聖堂も違った視点から見ることができます。長い年月をかけて増改築が繰り返された大聖堂のうち、八角形の礼拝堂が、カール大帝時代に建てられたものです。その内装はくらくらするほどゴージャスです。ローマやラヴェンナから取り寄せた大理石の柱、黄金に輝くモザイクの天井。この世のものとは思えないきらびやかな雰囲気。それがキリストの教えかどうかはさておき、あれだけの豪華な教会を莫大な費用をかけて建てたのは、他ならぬ彼の信仰心の篤さゆえなのでしょう。

また、人生の大半を戦いに費やしたカール大帝は、その疲れた身体を癒す浴場として、または得意な水泳で身体を鍛える温水プールとして、温泉をなにより好んだのだそうです。温泉が湧いているがために、アーヘンに宮殿を建設したとも言われているようです。大聖堂から歩いてすぐのエリーゼの泉では、今でもアーヘンに湧き出る源泉に触ることができます。そのお湯は、箱根の大涌谷のように強い硫黄の香りがします。温泉大好き日本人にとっては、カール大帝を身近に感じられるスポットです。

今でも湧き出る源泉を触ることができます(飲用はできなくなっているようです)

今でも湧き出る源泉を触ることができます(飲用はできなくなっているようです)

これらのことを知っただけでも、「アーヘンの歩き方」が変わってきませんか?

日本でいえば平安時代、今では小さな地方都市アーヘンの町から西ヨーロッパの歴史が初まったのです。 大聖堂を見学し、宝物館で彼の腕の骨を見れば、学生時代にはただの暗記すべき教科書上の太字だった『カール大帝』に命が吹き込まれるのです! …というと少し大げさですが、知らないで通り過ぎるのと、歴史の舞台でその主人公が歩いたであろう道を歩き、思いを馳せ、追体験するのとでは大違い!

そのうちに、「では、カール大帝後の西ヨーロッパはどうなったの?」「アーヘン大聖堂では何百年もの間、神聖ローマ帝国皇帝の戴冠式が行われたというけど、神聖ローマ帝国って何?その名前すごくカッコいいわね!」などと、新たな疑問や好奇心がどんどん湧いてくるはずです。

そうしたらもう歴史の虜です♡

子供のことや今晩の献立でもない、ヨーロッパの歴史について考える。たまにはそんなロマンあふれる有意義な時間を持ってみるのもいいものです。せっかく縁あってドイツに住んでいるのですから、ドイツや周辺諸国の歴史に注目してみませんか?買い物やグルメの旅ももちろん楽しいですが、そこに一つ歴史の知識を加えれば、旅はきっと忘れ難いものになりますし、同行する家族や友人もちょっとしたウンチクで楽しませることができます! もっとも、私のようにハマりすぎて、ユダヤ教の教会であるシナゴーグ巡りなどをし始めると、家族を困らせる事になりますが…。

リポーター TOMOKO

世界史大好き。特に絶対王政の時代が好きだが、ベルリンへ行って以来、現代史にも夢中。趣味は漫画。目下、木曜日のモーニング発売日が生きがい。一児の母。ドイツ在住4年目。