ヒサコラム 日独比較文化論ー子どもが遊具を取り合ったら?

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子どもが幼稚園くらいになってくると、自己主張も強くなり、他者との関わりの中で社会というものが構築されていることを、少しずつ学びはじめます。子どもたちは、お友達との遊びを通して、多くのことを学ぶわけですが、その中でも遊具を取り合う状況で、ドイツと日本では大人の対応に違いがあるように見受けられます。そして、これが日独の文化の違いにも影響を与えている気がします。

子どもが遊具を取り合っている場合、日本では奪おうとしている子に対して、言葉で「かして」「使ってもいい?」と言うように教え、先に使っていた子どもに対して「どうぞ」させるように教育しようとします。「どうぞ、しなさい!」とママは何度も言います。

一方ドイツでは、「どっちが先に使っていたの?」と大人が尋ねます。言葉ができない子どもに関しては、見ていた大人が「⚪︎⚪︎ちゃんが先に使っていたわね」と判断して、先に使っていた子どもに遊具を譲ります。そして奪おうとしている子どもは「私は次に使いたいです」という意思を先に使っている子に伝えさせ、そして、その子が手放すまで待たせます。そう、どっちが先に使っていたかが大事なのです。ドイツの幼稚園に通う子どもの証言によると、幼稚園の遊具では、先に使っていた人がもちろん優先だけれども、あまりに待っても貸してくれない場合は、先生に言いに行くそうです。

ここで分かることは、遊具を取り合うシチュエーションにおいて、日本では譲り合い精神を教育しますが、ドイツでは待つことを学びます。日本のようにお互い譲り合おうというのは、このような場で日本ほど強調しない傾向にあると言えます。

これが大人になった社会でも同様です。ドイツでは郵便局でも銀行でも、どこでも接客を受けるとき、やたらと並びます。日本人の方なら、だれでもイラッとした経験があると思います。日本だとクレームものですが、ドイツではどんなに長い行列ができていても、接客している方も、待たせているお客さんの存在をあまり気にすることなく、今対応しているお客さんだけに注視して、接客を続けます。待っている方がいるから、早く切り上げようという思考回路はそこにはありません。後列の人々も、当たり前のように並び待っています。これが日本なら、接客する側も接されているお客さんも、後ろの行列に気遣い手短に済ませたり、接客する側はお客様をなるべく待たせないようなシステムを作ろうと工夫すると思います。

ドイツでの接客サービスに抱いていた違和感の源がここにあるように思えてきました。子どもの遊びの中での大人の対応、ひいては教育の違いが「文化」とか「国民の精神」と呼ばれるものの相違を作り出しているのかもしれません。

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