ヒサコラム 日独比較文化論ー接客業にみる誠意の相違

FullSizeRenderドイツではお店で待たされることがよくあります。銀行にしても郵便局にしても、ものすごい行列を作って並んでいても、その行列を解消しようという気配はまったくありません。お店の人は黙々と自分のすべき仕事に没頭している(あるいは没頭しているふりをしている)ために、接客を待つお客さんに目もくれません。お客さんもお客さんで、自分が接客されている時は、どんなに行列ができていても焦ることなく質問をしたり、満足がいくまで話しまくります。

日本人である私は、お客さんを待たせるなんてありえない!まして、あんなにたくさんのスタッフがいるのに、なぜ行列をなす客を無視するのだろうとイライラした経験が多々あります。ドイツは日本に比べてサービスが悪いというのが、ドイツの第一印象でした。

しかし、ドイツ生活が少しずつ長くなるにつれ、少しドイツ的接客に慣れてきた自分にも気づきました。ドイツに来た頃のようにはイライラしなくなったのです。そんな自分の心境を冷静に分析してみたところ、日本とドイツでは「接客」に対する誠意が違うということに気づき、納得している自分を発見しました。

どう違うかというと、日本ではすべてのお客さんを待たせないために努力をするということが、お客さんに対する誠意であると捉えられています。待っているお客さんがいる傍らで、のんびりとそれを気にすることなく棚卸しをしていたり、後ろで他の同僚とおしゃべりしていると、即クレームされるでしょう。お客さんにまず誠意を見せるためにも、お店が一体となって、お客様を待たせないように努力し、それをきちんと示していると思います。銀行の待つ順番を整理する人を配置したり、事前に用件を聞く人を配置したりと、待っていても「自分は対応されている」感をお客さんに持ってもらうことが大事なのです。それこそが「誠意」ある対応だと思っているからです。

一方ドイツでは、どんなに列をなしてお客さんが待っていようとも、今対応しているお客さんの目をじっと見て、焦ることなく、そのお客さんだけに対応します。そのお客さんに集中して接客することこそが「誠意」だと思われているからです。無駄に「いらっしゃいませ~」的挨拶を連発することもしません。ひたすら目の前のお客さんだけを接客します。一対一できっちり集中して接客することがドイツ人にとっては「誠意」だと思われているからです。

さらには、病的なほどに徹底された分業化により、他のスタッフが接客に手を貸さないというのも、日本人からすると、接客のクオリティが低いと感じる一因だと思います。接客をしている人は、それに専念し、棚卸しをしている人は、棚卸しに徹底すべきだと考えているからです。エミール・デュルケムもびっくりな分業化の弊害です。

これらが相まって、日本人はドイツでの接客サービスに不満を抱きやすいのです。ドイツで接客された時にイラッとしたら、日独にある接客における誠意の違いを思い出して、少しイラっとした自分の心をなだめてみてはいかがでしょうか。

管理人ヒサコ

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