ヒサコラム 現場のフレキシビリティから学ぶこと〜卒園生を無料で預かってくれる!〜

IMG_6676ドイツでは小学校の休みが幼稚園・保育園よりも多く、働くママたちはちょくちょく来る休校日に悩まされています。そんな中、救世主となるのが卒園した幼稚園。数日前に電話で問い合わせ、幼稚園の先生が一言「OK」と言うだけで、卒園生である子どもを、しかも無料で預かってくれます。開園の朝7時半~閉園の16時半まで、しかも昼食と15時のおやつもでます!こんなユルユルな託児は、働く家族にとってはとってもありがたいサービスです(毎日ではなく不定期に年数回ですが)。

なにがユルユルかというと、オフィシャルに募集しているわけでも、書面での申し込みがあるわけでもなく、なんとなく要望があれば受け入れてくれるという非公式なサービスだからです。どうしても困っているから預けたいというような理由もいらず、ママが友達とランチをするためであろうと、ママが趣味の水泳をするためであろうと、ぬけられない仕事があろうと、幼稚園側は理由を問いません。その代わり、なにかあった時の免責のための契約書などもなにもありません。卒園後、別々の小学校に行っているお友達のママと事前に相談しあって、同じ日に預けることもでき、子どもたちを久しぶりに再会させて遊ばせるという企みで預けることもできました。なにせ理由を問われないので。。。

我が家でも去年の秋休みにどうしても預けたいという日があったので、前日に幼稚園に電話をかけてみました。園長先生が電話にでましたが、「担任(うちの子が以前所属していたグループの担任)の先生がいいって言えば大丈夫なので、今聞いてみますね。」と言われ、即オッケーが出たので、翌日は卒園した子どもを連れて、幼稚園へ連れていきました。なによりも驚いたのは、園長先生が権限を持っていると思いきや、担任の先生が権限を握っているという点です。

これは通園していた時にも感じていたことで、クラスごとで遠足の場所や回数、季節のイベントが異なり、それらもクラスごとに担任の先生が決めるというところに驚いていたのですが、卒園生の託児に関してまで権限をもっているという点は、びっくりしました。

権限に関してはトップダウン方式の傾向の強い日本では、ここまで担任の先生に権限が付与されていないでしょうし、そもそも、ガイドラインや仕事内容に含まれていないため、前例がない、あるいは、例外的なことは責任問題につながるし、契約書もなしに、無料で預かるようなことはしない、いやできないと言うと思います。もちろん、何かあった時のことを考えることは必要です。しかし、そのリスク回避ばかりに注視していまい、非常に硬直した現場になってしまってはいないでしょうか。リスク回避に注視し、組織の全体的利益ばかりにとらわれることで、全体的利益と個人的利益との間に乖離が生じてしまい、道徳や倫理という問題を不可視なものへと押し込めてしまうという危険性を孕んでいるのです。

もちろん、現場である担任の先生の心のゆとりと良心が土台となって実現している非公式なサービスですが、これは保育現場だけではなく、震災に伴うボランティア活動の現場にも共通して学ぶことができる事例ではないでしょうか。ルールにガチガチに拘束されることで、一番助けが欲しい人に、欲しい物が届かないという葛藤は、よく耳にします。ドイツのあらゆるサービスがテキトーで、イラッとすることも多々ありますが、このように公的なルールに囚われ過ぎず、現場優先で機能しているこのフレキシビリティに関しては、非常に学ぶことが多いと思いました。なにせ利用した当事者である私と子どもはとてもハッピーでした。

ガチガチなルールに囚われ、社会全体が硬直化し、みんなが緊張とストレスを感じている社会では、個々人の幸福度が下がってしまいます。平田オリザさんの案じる「母親が子どもの犠牲になる社会」への問いかけを模索するにあたり、このような事例は、ひとつの解決策をみつける糸口になるかもしれません。

文責 管理人ヒサコ

ヒサコラム 現場のフレキシビリティから学ぶこと〜卒園生を無料で預かってくれる!〜 への2件のフィードバック

  1. めぐぐ のコメント:

    びっくり仰天です。
    ルールに縛られる現代に、何だかよい話を聞かせてもらったような気がしました!臨機応変に。一番大切な事かもしれませんね。

  2. ひさこ のコメント:

    めぐぐさま、そうなんです。なんだか昭和な私もそういうノスタルジックな気分になったのです。ハートで動くことって大事だなと改めて感じました。

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