ヒサコラム 自尊心を育む幼児教育プロジェクト

スクリーンショット 2016-09-12 23.37.07

このJolinchenのぬいぐるみが4体幼稚園にやってきました

日本の幼稚園では、みんなでお遊戯をしたり、お歌を歌ったりと、一緒になにかをすることで協調性を養うことに重きが置かれている気がします。少なくとも私の幼少の頃の体験では。。。

翻って、ドイツの幼稚園では、運動会もなければ、お遊戯もありません。そのため、親として子の成長をまじまじと見るような大舞台は用意されておらず、幼稚園でとりわけ感動することがないので物足りないと感じることも。。。

そんな中、幼稚園で新しいプロジェクトが始まり、珍しく家族も招待されたイベントがありました。幼稚園を訪れてみると緑の小さなドラゴン風のぬいぐるみが4体いました。この4人のぬいぐるみが新しく幼稚園に入園し、3年間一緒に生活するという設定のもと、人形の自己紹介からイベントが始まりました。これはJolinchenKids-Fit und gesund in der Kita というプロジェクトで、AOKという公的健康保険会社がスポンサーとなって行われているプロジェクトであることがわかりました。

JolinchenKids-Fit und gesund in der Kita の詳細はこちら

スクリーンショット 2016-09-12 23.37.27

https://www.aokplus-online.de/leistungen-services/gesundheit/gesundheitsfoerderung-in-kindertagesstaetten.html より引用

タイトルから想像するに幼稚園での健康促進的な内容だと察し、食育や運動についての知識を教えるのかと思いましたが、実際は全く違いました。ここでいう幼稚園での健康とは、自らの感情や身体について耳を傾け、自尊心を高めることを意味しているようです。

よくよく話をきいていると以下の4つ能力を高めることで、自尊心を高めようとしていることがわかりました。

1、Selbstwirksamkeit 自己認知能力

これは、自分が何をしたいのか、それをどうやって実行していくのか、自分で知ることです。また、すぐにそれを実行できないとき、どうしたらいいのかまでを自分で考える能力を指します。自分は正しく、自己決定する権利が自分にあるということを子供たちに認識させるそうです。

2, Wahrnehmen und ausdrücken von Gefühlen 自己認識と自己表現

これは、自分の感じたことを表現する能力です。自分の身体が反応したことに対し、それを表現でき、どうしたら自分の気持ちがすっきりするのか、そのために何をすべきか自分で自分を理解する能力を指します。

3, Entspannungsfähigkeit 自己制御能力

これは、自らを鎮めて落ち着かせる能力です。自分が休憩が必要な時、それを自分自信で知り、どうしたら、自分の気持ちや身体が落ち着くのか、その術を自ら知ることを目指します。

4, Konfliktfähigkeit 人とぶつかった時の処理能力

これは、自分の気持ちや身体が何かによって取り乱されたとき、それを自分で気づき、対処するための能力です。具体的には、他者に意見することを恐れず、自分はうまく意見することができ、それによって、よい解決策を見つけることができる。それを通して、お友達と仲良くやっていくことができるようになることを目指します。

最終的には協調性(お友達と仲良くやっていく術)を身につけるという点では日本と同じなのですが、その到達メソッドが全く違っているところに驚きました。

あえて意見をぶつけさせちゃうのです。自分が正しいと植えつけさせちゃうのです!不快なことを声を大にして言わせちゃうのです。

ドイツではお友達と仲良くやっていくためには「滅私」ではなく、まず自分を知り、自分を認め、それを相手にぶつけることで、折り合いを見つけるという考え方が根底にあるようです。そのためには、自己評価を高くもつことが大切とされ、自分の感情や自分の身体が自分のものであり、それをコントロールできるようになる、そして自分の感じたこと、思ったことを身体や言葉で表現することを幼稚園児にも教育しているのです。

小さい時から自分の思っていること、感じていることを身体と言葉で表現するという教育は、延いては、自分の考えを持ち、人にそれをぶつけるという民主主義の素地を築いてるのではないかと思います。たまに、大人同士でも喧嘩しているのかな???という場面に遭遇しますが、最終的に当事者同士が笑っているというシーンをドイツではみかけます。これも意見をぶつけあい、折り合いを見つけたってことだったのかなと、今だから思えるようになりました。

「滅私」が美徳とされる日本ですが、子供の自尊心の低さが顕著な日本では、自分をまず知って自己評価を高めるという教育方法からも学ぶことはあるのではないでしょうか。

管理人ヒサコ

ヒサコラム 自尊心を育む幼児教育プロジェクト への5件のフィードバック

  1. 西岡真理子 のコメント:

    まさにその通りですね。日本とドイツのここの違いは大きいです。そしてそういう子供を育てるためには、親が自分自身を知り、自己評価を高めなければいけないと思います。
    日本の場合、子供の教育をする親の教育も一緒にやっていかないといけないと切実に感じています。

  2. hisako のコメント:

    西岡真理子さま、コメントありがとうございます。親の自身への自己評価が低いために、自己実現の道具として子が利用されるような現状を改めていく必要があるし、それを助長するようなサービスも改めないといけないですし、そのためには親の教育は絶対必要だと考えています。その具体的施策を実施されている真理子先生、またお話し聞かせてください!

    • Mariko のコメント:

      私も一母ですから、まだまだ発展途上、若いお母さん達と共に学んで行きたいと思っています。とにかく 同じことの繰り返しから脱却するためには、ある程度の連続した、ワークが必要だと考えています。それにしても、話の切り口がスパーッと鋭くて気持ちがいいですね。全てに納得して読ませていただきました。また次回も楽しみにしています。

  3. rin のコメント:

    ドイツにきて数ヶ月のrinと申します。
    昨夜はじめてこのサイトに出会い、親切なサイトとコラムの面白さにハマってしまい読破しました。
    娘を育てておりますがこの記事に書かれている違いをここドイツで楽しみたい、そして学びたい、実践したいと思っていました。小さな日本人社会で完結しがちな生活をなんとかドイツ文化に触れながら過ごして行きたいと思います。そのことを再認識するきっかけをありがとうございました。

    • hisako のコメント:

      rinさん、コメントありがとうございます^_^
      なかなか日常生活に埋もれて更新できていないサイトですが、見てくださっている方からのメッセージでやる気がでます!ドイツ生活での育児&家事などの質問などありましたら、お気軽にぜひサイトをご利用ください!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*