ドイツの住宅問題解決します!その2 修理代は誰が払うの?

前回の住居問題に関する記事の反響が大きかったため、住居問題に詳しいドイツ人弁護士René Jordeさんに再びインタビューをさせていただきました。今回のテーマは、賃貸住宅での損害は誰が弁償するのか?です。

弁護士Jordeさん
ドイツの賃貸住宅に関する法律は非常に複雑で、それを都合のいいように使おうとする大家さんもいます。借りる側も知恵をつけないといけません。ぜひ、お役に立てると嬉しいです。

りんごの木管理人ヒサコ(以下ヒサコ)
え!?具体的にどんなことですか?

弁護士Jordeさん
私が日本に行った経験では、とても素晴らしいサービスを受けられるという印象を持っています。日本の多くの賃貸物件でも、管理会社が建物管理から修理までを徹底してプロフェッショナルに仕事をしてくれます。しかし、ドイツでは、日本と状況が全く異なっています。ドイツでは修理を依頼すると、かなり時間がかかり、あげくには、その修理費を誰が負担するのか、家のオーナーなのか借主なのか、もめたりします。

ヒサコ
りんごの木読者の方からも、賃貸物件に関する問題を耳にしたことがあります。いったい、住宅の修理費は誰が負担するのですか?

弁護士Jordeさん
基本的には、物件オーナー(貸主)が修理費を負担しますね。そもそも、家賃の中に家に付属している物品を借りているという値段も含まれていると解釈されていますから。
でも、例外があるので、注意が必要です。賃借契約書の中には、些細な損害や小さな修理に関しての条項が盛り込まれ
ていることがよくあるからです。頻繁に日常的に使う小さなものに関しては、それが借りている家に付属しているものであっても、借主が修理代を負担するといった内容です。具体的には、電気スイッチや水道の蛇口といったもの修理が該当します。とはいえ、修理代の負担は、各々の修理ごとであったり、年ごとであったり、金額や回数の制限が設けられていなければなりません。その制限が規定されていない条項は、法的に無効となります。

さらに、修理代が借主の負担になる例外があるので、注意が必要です。その修理するものが本当に賃貸物件に属しているのか、借主のものなのかを確認しなければなりません。特にキッチンで何かが故障した時に、よく問題になります。

ヒサコ
日本ではキッチンは基本的に物件に含まれているので、故障したら、大概は大家さんの負担になるのが一般的かと。。。

弁護士Jordeさん
ドイツでは状況が全く違います。キッチンは家具の一部として考えられています。なので、基本的には、椅子や電化製品と同様、家を借りている人のものと解釈されます。トイレや床と同様に、借家に属している日本とは根本的に考え方が異なるのです。そのため、キッチンのコンロが壊れたり、オーブンが故障したといったような場合は、借主がその修理代を負担しなければなりません。

ヒサコ
では、引っ越ししてた時点でキッチンがすでに設置されてある場合、そのキッチンは誰のものになるのですか?

弁護士Jordeさん
まず物件の引渡し書(Übergabeprotokoll)を見ます。 キッチンは前の借主から引き取ります”と記してある場合、自動的に新しい借主のものになっています。その場合は、前もって前の借主が次の借主に値段交渉をして売ったり、無料で譲渡するケースもあります。

もし、キッチンが賃借契約書の中で、明らかに家の一部の家具として記載されていれば、そのキッチンは大家さんのものということになります。その場合、物件の受渡し時に、すべてのキッチンの器具が壊れていないかをチェックすることをお勧めします。もし、壊れているものがあれば、すぐに修理を依頼して、物件引渡し証書で抜けている箇所を確認してください。

もし、引渡しの時点で明らかな損傷や故障がある場合は、引渡しの際にオーナーにきちんと伝え、物件引渡し証書に記入してもらうようにしましょう。そうすることで、のちに揉め事が起きた時の証拠を残しておくことになります。さらに、引き渡し時に、すでにある傷や汚れなどの損傷を写真や動画として撮っておくことをおすすめします。

ヒサコ
どんな事で揉めるんですか?

弁護士Jordeさん
例えば、家の中で損害が起きた時、その損害がそもそも生じさせたのは誰なのか、その損害の修理費を誰が負担するのかを明らかにする際に、揉めることが多いです。特にフローリングの深いキズはよく争いのもとになります。オーナーは、借主が何か床に落として、キズがついたんだと主張してきます。それとは逆に借主は、越してきた時にすでにこのキズはあったと主張します。こういった時に、強い味方となるのが引き渡し時に記録したÜbergabeprotkoll(引き渡し書)記された内容なのです。

しかも、修理代がバカにならない水回りの損害、例えば洗濯機からの水漏れの場合は、膨大な修理時間と費用が必要になるため、このような損害に備えて、損害保険に加入しておくのがいいと思います。とはいえ、その水漏れの原因がどこからきたのかを調べるのは意味があります。もし、壁の中をつたう水管の老朽が原因である場合は、修理代はオーナーの負担になります。

ヒサコ
実際に損害についての調整はどうやるのですか?

弁護士Jordeさん
大事なのは、あなたが家のオーナーや損害保険に問題を認識した時点で即座に知らせることです。そうしないと、せっかくの損害保険では活かされませんし、オーナーが損害に対する修理を担わせることができます。

借主が、すでに家の中にあった大家さんに属するものを壊してしまった場合、言われた額を鵜呑みにして、そのまま支払う必要はありません。壊したもののが古いものであれば、その減価償却費を加味した値段を弁償すべきであって、必ずしも、新品の値段を支払わなくてもいいのです。

ヒサコ
なるほど。今回のポイントは大きく分けて3つ。

1、原則はオーナーが修理費を負担する(但し、例外があるので要注意)

2、キッチンに関する感覚が日独で全く異なるので留意が必要

3、引渡し書(Übergabeprotokoll)は、借りる際と返す際に要チェック。場合によっては、弁護士さんに立ち会ってもらうことも可能。

お金で解決するならと泣き寝入りしがちですが、果敢にそして冷静に、オーナーに立ち向かうことも大事ですね。まずは、自分の住まいの契約書や引き渡し書(Übergabeprotokoll)を見直すことから始めた方がよさそうですね。

もし、読者のみなさんで住居について問題を抱えている方や契約書や引渡し証書について不明な点などありましたら、気軽弁護士のヨルデさんにアドバイスをもらうことをオススメします。今回もためになるお話をありがとうございました。

ドイツ弁護士 レネ ヨウデ(René Jorde )
10年以上に渡り、住居分野に特化した法務に従事。住居協同組合の役員を歴任。法律事務所では、不動産、著作権を中心に人々の生活を法的側面からサポート。
www.rene-jorde.de

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