ヒサコラム 日独比較文化論ー入院ルポ編

ちょっとした不調で内科にいくと、救急で大病院に送られ、心の準備もないまま翌週に手術になりました。16年ほど前に日本で受けた手術と同じ手術をドイツでも経験する運びとなりました。日本の事情しか知らなかった私は、ドイツの事情を知る良い機会を得たので、ちょっとした患者視点での病院潜入ルポをびっくりした3点について報告したいと思います。
まず1点目は、下腹部の手術ということで、手術前には衛生面の観点からなされる剃毛についてです。日本での手術の際は、手術当日の朝、看護師さんが病室にやってきて、看護師さんの手によって毛を剃られました。剃毛中のぎこちない雰囲気といったら!たわいもない話をしながら、申し訳なさそうに業務をこなす若い看護師さんに、なぜか申し訳ない気持ちを頂いたのを覚えています。
一方ドイツではベッドごと手術の待合部屋へ移動後、麻酔科医とたわいもない会話をしている最中に、麻酔を打たれ(前日に麻酔科医とアポがあり事前に説明を受けています)、気付くと手術が終わっていたというびっくりさ!つまり、その無意識の間に剃毛も終わっていたわけです。
麻酔が効いて無意識な時に剃毛されるドイツと意識のある時に剃毛され、辱(はずかし)められる日本。これはドイツの方が勝ちだと思いました。なぜなら、患者が無駄な精神的ストレスを感じる必要がないからです。それでなくとも手術を受けるというストレス下にあるにもかかわらず、追い討ちをかけるように雪辱的な気分までをも味わせる必要はないと感じました。
そして2点目は、術後の投薬についてです。
術後、日本では抗生物質が処方され、飲み切りるよう指示されました。私の知識からすると、傷口の感染を回避するため、至極当たり前のこととして受け止めていました。
しかしドイツでは、意識が戻ると痛み止めのイブプロフェン600mgを退院まで出されますが、それ以外の薬は出されませんでした。傷口の感染が心配でビクビクしましたが、傷口は溶ける糸とともにきれいになりつつあります。ドイツはかなり抗生物質に対して敏感で、滅多なことがない限り抗生物質は処方されない事は日頃から感じていましたが、術後すらも処方されないことに驚きました。
もし感染したらというリスク回避志向の強い日本と極力抗生物質を使わないドイツの違いを確信しました。少しずつ日本も抗生物質を出さない傾向にあるとは思いますが、まだまだ意識の差は歴然です。
3点目は病院食について。無形の世界遺産に指定されている日本人の食文化と夜も火を通したものを害して口にしないドイツでは、病院食にも歴然とした違いがありました。これは完全に日本に分配が上がります。ドイツははっきりいって、罰ゲームかと思うような献立です。
日本では、全身麻酔後すぐは消化器系にも負担がないようお粥から始まったのを覚えています。そして数日かけて普通食に戻されました。温かいご飯に煮物や汁物。。。日本では味が薄いとか病院食を揶揄する傾向にありますが、今思えばかなりのご馳走です。
一方ドイツは、術後の消化器系への負担などを一切無視した献立。パンとスライスチーズとハム。おまけの味付きヨーグルトです。しかも、手術をした日の初の食事となる夜ご飯です。その夜は麻酔も切れ、術後の痛みと戦ったのですが、その痛みの根元はどうも消化器系にある感じがしました。翌日の回診でも、消化器系が痛いと訴えたほどです。翌日の朝も夜も、ハムがサラミになったり、ハムがサラミになったりするくらいで変わり映えのしないKaltes Essen(火を通さない食事)は機械的に出されるのでした。
たまたま、コロナ禍での入院となり、家族すらお見舞い禁止というルールが設けられていました。痛みのある術後の数日間は、お見舞い客のない静かな時間を過ごすのも悪くないと思いました。とてもよく寝れるため、快復を助長してくれていると感じました。日本では10日間の入院でしたが、ドイツではそんな食事にもかかわらず快復は順調で、4日目に退院となりました。病気をしないことが一番ですが、こんな日独の違いを楽しめたのは人生のネタを増やすいい機会となりました。
文責 りんごの木管理人ヒサコ

1 Response to ヒサコラム 日独比較文化論ー入院ルポ編

  1. 尾形啓子 のコメント:

    どうしたの?大丈夫?

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