寒さが増す12月上旬になると、幼稚園も学校もクリスマスのお話で盛り上がります。日本ではサンタクロース一色なのに、ドイツでは話を聞いているとニコラウスにサンタクロース、クリストキンドなど、クリスマスの時期になるといくつかの名前を耳にします。色んな人がプレゼントを運んでくれるような話で、よく分からなくなってきます。
どちらも赤いマントを羽織って、白髭のおじさんっていうイメージがあるけど、実際になにが違うのでしょう?
ニコラウスの起源は?
ニコラウスとサンタクロースの大きな違いは、サンタクロースは実在したという歴史的な背景が無いのに対し、聖人ニコラウスは、実際に存在した人物であること。4世紀にミラ フォン ニコラウス として古代ローマ帝国の司教であった。
ニコラウスは自身の教会のお金を使って、裕福でない子供達を助けたり、人間的にも出来た人だったそうで、それが後世に伝えられ、人々は彼を神に清められた人物と呼ぶようになります。
彼が12月6日に亡くなったため、この日がニコラウスの日となり、人々によって祝われるようになりました。そして、良い子にはこの日にニコラウスがちょっとしたプレゼントやお菓子を持ってきてくれると言われるようになります。ロシアでは守護聖人とも言われているそうです。
ドイツでは、ニコラウスの日の前夜、子供達は自分の靴をキレイに磨き、ドアの前に置いてきます。すると、翌朝キレイに磨かれた靴の中に、ニコラウスの形をしたチョコレートや手焼きのクッキー、くつみなど、ちょっとしたお菓子が入っています(実際は親や近所の人が入れます)。また、幼稚園では自分たちで作ったフェルトの靴下に、みかんやチョコレートを先生がいれておいてくれて、登園した子供が喜ぶといったように、ドイツではクリスマスのサンタクロースだけではなく、子にとって師走の大事なイベントのひとつとして慣習化しています。
サンタクロースの起源は?
前述したように、サンタクロースは実在した人物ではなく、メルヘンの中での人物です。アメリカへのヨーロッパ移民が、17世紀にその伝統を受け継いだことで、今のサンタクロースと呼ばれるものが出来上がりました。オランダ語がここでは貴重な役割を果たしています。彼をオランダ語で、ニコラウス、セイント ニコラース、もしくはその短くした形でセイント クラースと言うそうで、それが時代とともに変形して、アメリカではサンタクロースと呼ばれるようになりました。
私たちが思い描く、煙突からお家に入って、クリスマスにプレゼントを持ってきてくれると言われるようになったのは、18世紀に入ってから。このようにして、毎年12月25日に子供達の願いが込められた靴下にプレゼントが入れられるようになったそうです。
サンタクロースが、赤い服を着て白髭を伸ばした太っちょのおじいさんというイメージになったのは、1931年にコカコーラ社が広告でサンタクロースを使用したことで有名になり、それが日本にも伝播してきたとされています。でも、ドイツではあまりサンタクロースという言葉を日本にいるときほど耳にしません。なぜなら、ドイツでは、伝統的には12月25日にサンタクロースでは無く、神の子供(Christkind) がプレゼントを持ってきてくれると言われているからです。この子達のことを、羽をつけた神からの天使とも呼びます。また、クリスマスには日本のお正月のお年玉にように、ドイツでは親戚の大人たちから、子どもたちはたくさんのプレゼントをもらいます。現実的には、大人の出費がかさむシーズンでもあります。
ニコラウスとサンタクロース、そしてクリストキントの違いについて分かりましたか?もうすぐ12月6日のニコラウスの日です。ぜひ、ドイツの風習を、お子さんと楽しんでみるのはいかがでしょうか?
りんごの木レポーター WAKA
ドイツ人の旦那と、3人の子持ちママ。2011年からデュッセルドルフから北に車で25分の小さな町に暮らしています。ドイツ人の生活や暮らしのちょっとしたアイディアなど、身近な情報を中心にレポートします。
ドイツに駐在経験がありながらも、ずっともやっとしていた違いが、とってもよく分かりました! おもしろかったです。